石川県版 Vol.32
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23oV9102ETON.lARUKAS” 5■介護福祉士 宮崎 恭弥さん遠回りして気づいた大切なこと   のはわかっています。でも、私が自分らしく、そして楽しく働けるのは、職員一人ひとりの個性を大切にしてくれ、さらに伸ばしてくれる優しさがあるから。私と同世代のスタッフも多く、みんなのびのびとしています。でも、最近感じるのは、しっかりとした介護の知識が必要だということ。医療の知識を持ちあわせ、入居者様の容態の変化にいち早く気づき、適切な対応をする先輩を見てそう思います。「早う、こどもつくって連れてこんか!」「それまで長生きしとってや!」。そんなやりとりが実現できたら本当に幸せ。勉強も本気モードで取り組んでいくつもりです。瞼まぶたに浮かんでくるのは家族や友人、大学時代は楽しすぎて、勉強は本当に疎おろそかでした。福祉について学ぶという目的もいつの間にか忘れ、卒業後も地元に帰らず愛知県の商社にし就ゅう職しょしくました。そして5年の年月が経った頃、自分を過去に引き戻したのが、あの東日本大震災でした。「なんにもないクソ田いなか舎には戻らない」と親元を離れたはずなのに、近所の人たちの顔。近くの那なた谷寺の四季折おりり々おの風景や町内の行事でした。「これまで、いろんな人たちに支えられて生きて来たんだな」と思い返し、地元が恋しくなりました。「いつでも帰って来いよ!」と帰きせい省するたびに近所の人が声をかけてくれたり、玄関には誰が置いていったのか掘りたての大根があったり、「何もない」なんて、自分は大きな勘違いをしていたことに気づきました。自生園は、僕のひいばあちゃんが長い間お世話になった施設。家族みんなに見守られながら百三歳で息を引き取り、最後までお世話して下さったことに心から感謝したことを覚えています。そして現在、僕はこれまで故郷を支えてきてくれたおじいちゃん、おばあちゃんに恩返しをするつもりでここにいます。今では現げんき役えを引退された皆さんですが、生活に寄り添そっていると、毎日いろんな発見があります。タオルをたたんでいる時に喜んで手伝ってくれ、僕よりも上うま手かったり、普段は話ができなくても、好きな歌はちゃんと歌えたり、流れてきたメロディーを聞いて、涙を流す人もいます。これまでの人生の一いっん片ぺを見せてもらえたような気がして、心にしみます。仕事に追われると、心が見えなくなってしまうことがあります。一度使ったティッシュペーパーをずっとポケットに入れ、繰り返し使う入居者様がいますが、それは紙が貴重品だった時代の生活習慣。理解できないといって認知症として決めつけるのではなく、相手の気持ちを尊重することが大切です。温かい人の心が満ちた場所がこんな近くにあったのに、僕は随ずん分遠回りをしました。でも、そのおかげでいぶ最も大切なことに気づかせてもらったように思います。特別養護老人ホーム、デイサービスセンター、グループホーム、小規模多機能ホームの運営。地域密着の社会貢献事業に注力した介護施設です。社会福祉法人 自生園〒923-0331 小松市上荒屋町ソ4番地10Tel. 0761-65-1800 URL https://jishoen.com/ ■代 表 者 理事長 木崎 馨山 ■創  業 昭和56年  ■従業員数 204名  自生園には 子宝の神様”がいるらしく、妊婦さんのスタッフもたくさんいます。そして仕事も気遣ってくれる優しい職場です。介護の仕事に男女の違いはありませんが、やっぱり体力は必要です。ジムで体を鍛え、フルマラソンも7回完走しました。

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