石川県版 Vol.38
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菊きくた田 邦くにあき明さんんきょう頑が強さが命。びくともしない骨ほと太なうようかん大量の土砂や雪をすくって持ち上げるホイールローダーや、数千kN(キロニュートン)のパワーで圧力を加えるプレス機械などは、何といっても構造は、ぶ厚い鋼こん板を加工したパーツによって支えられています。初めてこの工場に来た時、積まれていた鋼板を目にし衝撃を受けました。厚切りのステーキでも、20センチを超えるのは見たことがありません。「本当に切れるのか?」そんな疑問がすぐに浮かびましたが、強力なマグネットにくっついて、天井クレーンでNCガス切断機の架かい台に寝かされた鋼板は、トーチの火口から出る炎の刃によって、ゆっくりと形をなぞるように見事に切り抜かれていきました。若い時から車やバイクが好きで、自動車整備士として長く働いてきた私でしたが、それまで感じたことのない高こ揚感に全身が包まれました。うはねぶ抑おさえ、いかに効率よく、きれいな切ものづくりは、材料を切り出すことから始まります。その方法は様々ですが、厚い鉄の材料はガスの炎で溶かすと同時に酸素で吹き飛ばしながら切り進めていく「溶ようん断だ」という技術を用もちいます。物理的な話になりますが、長時間熱を加えれば鉄は膨ぼうち張ょうし、切断されると内部応力が解放されて形が歪ゆがみ、材料の厚さによって変化の度合いも変わります。暴れようとする材料をり口でぴったりの寸法に切断できるか。職人の先せんつ達だはこの課題に挑戦し続けて来たのだと思います。これまでに教わった技ぎほう法は、かつて誰かが見つけ継けいし承ょうされてきたもの。それを超える、新たな方法を自分が発見できた時は感かん無むり量ょうです。初めて出会う素材が入ってくると、挑戦状を叩たたきつけられた気分ですが、必ず切ってみせる自信があります。好きなことをやり通す自分の意志で決めた仕事であれば、ひとに言われてやる仕事よりも、やり通す力が強いと思います。選んだ仕事が合っているかどうかは、やり続けないとわかりません。自分が好きだと思ったなら、とことんやり続け、もっと好きになってほしい。やり通す力は必ず実を結んでくれます。自分が身につけた技術や知識が社会の進歩に役立つ喜びを是非手にして下さい。だど超厚切りのスチールまな板の上の鉄デリケートな感性でダイナミックに挑いむ炎の鉄人(47歳)16ぜひ産業機械、建設機械、建材向け鋼材の溶断、溶接、加工・販売、ビルトH形鋼の販売。石川県能美市、富山県滑川市、新潟県柏崎市に工場があるJFE商事グループの一員。北陸スチール株式会社〒929-0125 能美市道林町へ106-20Tel. 0761-55-1383URL https://www.h-steel.co.jp ■代 表 者 代表取締役社長 大村 義高■設  立 平成12年  ■従業員数 95名 出身校:金沢市立北鳴中学校、石川県立河北台商業高等学校北陸スチール株式会社石川製造部 溶断グループ チーフ鋼材加工エンジニア

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