【合併号】石川県版Vol.39&PROCEED Vol.07
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羽咋の山里で米づくりをする祖父の手伝いをしに行くのが好きだった僕は、大学で農業や食に関わる経済のしくみを勉強しました。卒業論文を書くため、故郷の伝統工芸について取材したのですが、そこでわかったのは、石川県には農産物だけでなく、繊せい維をはじめ歴史ある伝統産業がたくさんあるということ。特に合成繊維は国内有数の産地だということを知り、ファッションに興味があった僕は誇りに感じました。有名アパレル(衣料品)メーカーの商品や、知らず知らず使っている織物製品や生きじ地には“石川県産”の糸で作られているものが少なくありません。僕たちが造っている「加工糸」は、様々な機能を付加するために研究された多くの知恵や工夫が撚より合わさっていて、ブランド米や高級フルーツの種し苗と同じように時間をかけ、大切に育まれてきたものなのです。ゅびょうSF映画に出てくる宇宙船の内部みたいですが、この最新鋭の加工機には糸の通り道が100本以上並んでいて、化学繊維の*原げんし糸が目にもとまらぬスピードで走っています。撚りをかけられたり、アイロンのように熱を加えられたり、空気を含ませるなど一連の工程を経て、原糸からウールのような天然素材の風ふうあ合いを持つ加工糸に変身します。ブランド商品の生地に採用される糸は、安定した高い品質が命。機械の中を通る糸の道みちじ筋すが正しいか1本1本確認し、加工途中も糸が切れている箇所はないか、巻き取られた加工糸にケバや汚れがないか隅々まで神経を注ぎます。失敗は大きな損失につながりますが、恐れずに挑戦する気持ちを尊重してくれる会社だから、任せてもらえる加工糸の種類も増えました。もっと自分に機能をプラスするため、信じた道を進んでいきます。育はくまれてきた先進技術んぐそむ失敗を恐おれたら進化できない勉強が大事将来がわからないから勉強したことが将来、何の役に立つかわかりませんが、やりたいことが見つからないなら、今のうちに勉強するべき。知識が増えると視野が広がり、それまで考えつかなかった選択肢が見えてきます。今できることをやらずに時間を浪費したところで何も変わりません。遊びは卒業してもできますが、学生時代の勉強は今しかできません。通ってきた道が正しいかどうかは自分の紡ついだ糸が教えてくれる白しろた田 槙しんたろう太郎さん18村昭繊維興業株式会社〒929-1332 羽咋郡宝達志水町北川尻ワ3Tel. 0767-28-2421URL https://murasho.co.jp ■代 表 者 代表取締役社長 市村 昭代史■設  立 昭和41年 ■従業員数 43名 出身校:金沢市立金石中学校、石川県立金沢西高等学校(24歳)*原糸 …エステルやナイロンなど加工前の糸の材料ナイロン・ポリエステルかさ高加工糸の製造、販売。世界でもわずかな工場でしか取り扱えない高度な技術の糸加工を行なっています。加工糸製造村昭繊維興業株式会社第1工場 生産技術

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