石川県版 Vol.40
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田よした 愛ちかし 6(22歳)「お年寄りから言ってもらう‘ありがとう’は、若い人に言われるよりも嬉うれしく感じるよ」。そう言って、いつも楽しそうに話をしてくれたのは、近所に住む介護士のお兄さん。僕は小学生でしたが、憧あこがれていた東京ディズニーランドのキャストよりも輝いて見え、将来なりたい職業はこれしかないと決めていました。ただ、遅刻の常習犯だった僕の心配は、寝坊だけでした(笑)。高校3年間も進路のことで迷うことはなく、新体操同好会で思う存分練習し、県の大会で個人総合第2位に入賞。インターハイにも出場しました。介護の仕事についてはいろいろ聞いてはいましたが、実際に経験するのは初めて。体力には自信があったので、ご利用者様をベッドから車椅子に移いじう乗ょするなど身からだ体を使った介助はすぐに慣れましたが、難しかったのはコミュニケーションの取り方。最初は緊張して気軽に言葉を交かわすこともできませんでした。昼も夜も施設内をずっと歩き回っている女性のご利用者様がいらっしゃいました。認知症のためになかなか意いし思が伝わらず、まだ経験の浅かった僕は、ただ見守ることしかできないもどかしさを感じていました。しかし、ある時「一緒にシーツ交換をやりませんか?」と声をかけてみたら快よく手伝って下さり、しかもとても上手で、逆にやり方を教えてくれたんです。長い間、旅館で働こころ■田中大成さん「ありがとう」の重み車いすの背中に映るのは今を生かされている感謝の心中たなか 大たいせい成田吉出身校:加賀市立山代中学校、石川県立加賀高等学校出身校:小松市立南部中学校、石川県立大聖寺高等学校(24歳)田中さん(左)、吉田さん(右)介護スタッフ 介護スタッフ介護士社会福祉法人 自じしょうえん生園

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