04oV3202ETON.lARUKAS 7逝いく人がいれば、また出会う人もいておられた方で、プロとしての仕事ぶりに僕は感動しました。その方と過ごしたのは1年くらいの間でしたが、介護の難しさに隠れていた喜びを教えてもらい、この仕事を続ける心がまえができました。ご家族から「自生園さんに出会えてよかった」と言っていただいた時、その方の顔を思い浮かべ、心の中で手を合わせました。います。これまでいただいた「ありがとう」の数だけ、僕は大きく成長させてもらいました。その言葉の重さをしっかりと受け止め、今日もお一人お一人に寄り添います。晩ばん酌しゃすくるおじいちゃんのそばに居るお年寄りの方から昔の話を聴きくのが好きな僕は、話しかけられるとつい聴き入ってしまい、仕事の手が止まってしまうことがあります。3人兄弟の末っ子だった僕は幼い頃、のが大好きでした。小学校からサッカーばかりしていて、勉強のほうに身が入らなかった自分に、「塾に通って大聖寺高校を受けなさい」と、塾の費用を出してくれた祖父。その祖父が高校受験の直前に亡くなり、悲しみをこらえ必死になって勉強しました。なんとか合格できましたが、おじいちゃんに恩返しすることはもうできません。その気持ちを社会に役立てたいと思い、僕は大学に進学し福ふくし祉について学びました。今、僕がいる施設では、食事や着替え、トイレ、入浴など身のまわりの介護が必要な高齢者の方々が生活されています。朝、お顔を見て挨拶すると、「おはよう!」と返ってくる。そんなあたり前の光景がここではすごく輝いて感じられます。新たな一日が悔くいのない一日になるよう、車いすの背中に祈りながら食堂へと向かいます。手の麻まひ痺などで、ご自身で食べられない方には、一さじ一さじスプーンをお口まで運び、のどに詰まったり*誤ごえん嚥しないよう注意して、ゆっくりと安心してお食事を楽しんでいただきます。一日の中で僕が好きなのは、ご利用者様のお顔がほころぶ体操の時間。固まった身体をグーンと伸ばし、「うさぎ追いし、かの山~♪」 「夏も近づく八十八夜~♪」と声を出して歌えば、みんな笑顔でいっぱいになるんです。そして、多くの方が楽しみにしていらっしゃるのがお風呂。皆さん順番に入られるので、ゆっくりとはできませんが、湯船につかって歌を口ずさまれる様子にいつも心が和なごみます。入浴時間が少し長くとれる時は、足の裏のアカスリをしてさしあげ、「スベスベになった」とすごく喜んでもらえたら、自分までスッキリした気持ちになります。あともう少し経験を積めば、介護福祉士の資格に挑戦できます。しっかりと勉強し、必ず合格することを祖父に誓います。*誤嚥 … 飲み込んだ食物などが気管に入ってしまうこと。※写真撮影のため、マスクを外しています。■吉田愛さんもらった愛情を返したい休日は月に10日。そのうち3日は好きな日を選べるので、プライベートを楽しみながら生活のリズムを整えます。サッカーの試合でぶつかった相手が吹っ飛んでしまうほど大きく丈夫な身体に育ったのは、親や祖父たちのおかげだと感謝しています。特別養護老人ホーム、デイサービスセンター、グループホーム、小規模多機能ホーム等の運営。視覚に障がいを持つ高齢者に特化した養護(盲)老人ホームは県内唯一。社会貢献事業に注力した介護施設です。社会福祉法人 自生園〒923-0331 小松市上荒屋町ソ4 番地10Tel. 0761-65-1800 URL https://jishoen.com ■代 表 者 理事長 木崎 馨雄 ■創 業 昭和56年 ■従業員数 197名
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