【合併号】石川県版Vol.41&PROCEED Vol.08
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全国のあらゆる場所で見かけるのがコンクリートで造られた構造物。道路、橋梁、ダムなど、インフラ整備に欠かせないコンクリートは、セメントと水、それに骨材と呼ばれる砂利や石が材料なので、どこでも大量に造ることができます。しかし、長年風雨にさらされると劣化してしまう問題は今も昔も変わらず、私は大学時代、その現象について研究しました。コンクリートに納豆菌を混ぜ込むことによって修復効果があるという研究結果もあって、面白くて奥が深い分野でしたね。    コンクリート構造物は、実は地下にも張り巡らされていて、生活に欠かせない下水道もその一つです。目には見えませんが、設置されているマンホールの位置や、道路の表面に表れたひび割れなどの状態から、どの場所に下水管が通っているか私には想像できます。というのも、入社以来、私が携わってきたのは、下水道システムの設計。初めに現地調査を行い、資料と照らし合わせて、既存の下水管の正確な位置を把握しないといけません。地下には送電線や通信ケーブルなども埋設されているので、そこを見落とすと設計に狂いが生じてしまいます。さらに、下水管は「自然流下式」といって、水が自然に流れるよう、わずかに傾斜をつける必要があるため、各地点の標高を細かく測り、既存の埋設物と干渉しないよう、下水本管まで通すルートを考えます。現地調査の結果をもとに、パソコン上で設計を行うのは、そう難しくないですが、椅子に座って図面を描くだけが私の仕事ではありません。重要なのは、実際に着工するまでのプロセスを決めていくこと。交通量の多い幹線道路や、住民の生活道路が近くにある場合は、発注者とともに県や市町村の道路管理者と協議し、工事期間や安全な迂回ルートを決め、工事車両の配置まで検討します。私の役割は、設計図や様々な説明資料を準備し、協議をサポートすることですが、作成した資料に間違いがあった場合、後でトラブルになったり予算にも影響するので、関係者全員が納得のいく、正確でわかりやすい資料作りを心がけています。石川県や富山県で新しい「道の駅」をつくるプロジェクトにも携わりま22(30歳)コーラスの練習を兼ねて、カラオケで歌ったり、子供といっしょにピアノで弾き語りをすること。バリトンボイスが自慢です。出身校:金沢市立浅野川中学校、星稜高等学校株式会社 国土開発センター 設計事業部 設計4部 リーダー技術士補(建設部門)、土木構造物点検診断技術者 S.Mさん下水道・排水システム設計建設コンサルタント金沢大学理工学域 環境デザイン学類 卒業地面の下に広がるインフラは 地面の下に広がるインフラは見えない努力を重ねてつくられる見えない努力を重ねてつくられる

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