設計開発デザイン
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大学時代、初めて目にした2台の消防車は、G*FRP製とアルミ製の革新的な消防車でした。最先端素材に興味を持ち、炭素繊維の研究をしていた僕にとって、先端技術を実用化した製品に触れられるのは願ってもないことでした。しかし、消防車を間近に見る機会はないに等しく知識も乏としかったので、その時は何がスゴイのかよくわかっていませんでした。その2年後、日本から9千キロ離れたドイツに自分が降り立つなんて夢にも思いませんでしたが、そこで見たのは先進的な消防車両の製造現場。日本とスケールの異なる大型消防車が広大な工場内にズラリと並び、効率化された製造プロセスによって滞りなく組み立てられていく様子に目が釘くづ付けになりました。なぜ自分がこの会社に採用されたのか、その時改めて理解し、使命感に火がついたのをはっきりと感じました。ぎぼ検けん証しょしうます。ヨーロッパと道路事情が異なる日本では、小回りの利きくコンパクトな車両にタンク(水すいう槽そ)や必要な資機材をたくさん搭とうい載さできることが求められます。そのためにはボディを軽量化し、強度を高めることはもちろん、消火活動や人命救助を行う人たちの使い易やすさも重視します。限られた空間に発注者の要望を取り入れ、3Dでデザイン化しますが、難しいのは現場でデザイン通り問題なく組み立てられるかどうか。設計の完成度が低いと作業する人に負担をかけるので、他の部材と干かんし渉ょうしないか、取付け方や使い勝手はどうか細部にわたって高校時代、僕は走はしり高たか跳とびの選手でした。営業担当から「あそこの設計、お客さんに喜ばれたよ」と言われた時、目標のバーを越えた時のような感動を覚え、さらにもっと高く今の自分を超えていきたいと思うのです。先生が贈ってくれた言葉高校の卒業式の日、担任の木森先生が最後に一人ひとりに贈ってくれた言葉を今でも覚えています。「自分にもっと厳格であれ。勉強でもなんでも、やった気になって満足してはダメ」というアドバイスをもらい、自分に甘えがあることを自覚しました。また仲間を頼ることの大切さを教わり、社会に出た今でも心の指針としています。着火した使命感目的を変えず、発想を変える最前線で命を懸かける人たちのために最先端の技術で消防車を変えていく長野ポンプ株式会社〒920-0841 金沢市浅野本町ロ145番地Tel. 076-252-4336URL https://www.naganopump.co.jp ■代 表 者 代表取締役 長野 幸浩■創  業  昭和 9年 ■従業員数 72名(28歳)出身校:宝達志水町立志雄中学校、石川県立羽咋高等学校*GFRP …ガラス繊維強化樹脂消防ポンプ自動車および消防関係車両の製造・販売。消防・防災用品・医療機器の販売。消防設備の設計・施工・保守点検をしています。消防車技術開発長野ポンプ株式会社車両事業本部 車両製造部 技術開発課K. Tさん

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