ものづくり
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小学生の頃、サイエンスヒルズこまつでイベントがあると、母がよく連れて行ってくれました。いろんな体験に心を躍おらせた記憶があり、それが化学に興味を抱いいたきっかけかもしれません。高校では*過か冷却について本格的に研究し、英語で結果をまとめることにも挑戦しました。化学と同じくらい熱を入れていたのが吹奏楽。僕はドラムやティンパニなど打楽器の担当でしたが、みんなの後ろでリズムを刻み、演奏を支える感覚が心こち地よく、文化祭では友人のバンドにも借り出され、声援を浴びたのも楽しい思い出です。化学についてもっと研究したくて、大学進学を機に地元を離れましたが、好きな音楽から遠ざかり、コロナ禍もあって、大学に行った目的がだんだん薄れていくのを感じました。「輝いていた自分を取り戻したい!」僕は心の声に従い、故郷に戻る決意をしました。こだざどれいきゃく新たな生活をスタートするために運転免許を取ると、車に興味が湧わきました。車は世界中で造られていますが、車のボディの生産に欠かせない省しょ人うじ化んかシステムを開発している会社がすぐ近くにあると知り、驚おどろきました。車のボディは大きな鋼こうん板はをプレス機に投入し、金かなた型がに押し当てて成形されます。一定のリズムで上下運動を繰くり返すプレス機に合わせ、鋼板を1枚1枚送っていくシステムを制せいょ御ぎするのは、楽器に例えるとドラム。テンポのいい生産の流れをつくります。僕は今、機械を動かす制御盤の設計に携たずさわっていますが、その中に組み込む電気部品はいろんな特性があって、まさにサイエンスの世界。いつか自分が設計したシステムが世界中の自動車工場で活躍することを想像したり、先輩たちのように海外に行くチャンスがあると思うと、僕の目はあの頃のように輝きます。しゅうしょく職してから大学に入って学び直「一度就すこともできる」。実際にそんな選択をした中学の先生の話を覚えていて、敷かれたレールから外れても大丈夫なんだと思いました。時代によって環境も変わります。大学進学の目的が分からなくなったら、立ち止まって考え直すことも必要。もしかしたら、大学以外でも学べる場所はあるのかもしれません。心に刻きまれた感動故郷で取り戻した輝き選択肢は一つじゃない自分に合ったリズムを見つけたら時間は希望に向かって動き始める株式会社創研〒923-1224 能美市和気町井58番地Tel. 0761-51-5548URL https://i-sk.co.jp ■代 表 者 代表取締役社長 谷 佳隆■設  立  昭和45年 ■従業員数 47名 *過冷却 …水の温度が0℃以下になっても液体状態である現象。自動車メーカ向けプレス機械用自動化装置をはじめとする各種省力化機械、搬送設備など FA化設備の設計、製作。出身校:能美市立辰口中学校、石川県立小松高等学校(21歳)株式会社 創研電気制御部自動化装置制御設計I. Rさん

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