ものづくり
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■Y・H さん仕事と趣味のいいリズム 34oV4202ETON.lARUKAS大きな影響が出てしまうからです。交代しながら加工を続ける仲間は、全員がレギュラー選手。野球と同じように、それぞれの回をミスなく抑えれば勝利につながります。ファインプレーを呼び込むには試合運びを考えた動きが大切。新しい金型を準備しておいたり、使い終わった材料を整理しておくのもそのためです。体も頭もフルに使い、自分のシフトを責任もって果はたせば、いつもお腹はペコペコ。仕事帰りに同期入社の仲間とすする熱いラーメンが、お腹も心も満たしてくれます。溶ようつ接せ。僕は小学校の頃から和わだ太い鼓こを幹かんやリズム感が鍛きたえられていたのか工業高校出身の僕は、機械科の実習でいろんな金属加工に挑戦しました。先生に上うま手いと褒ほめられたのがたたいてきたので、もしかしたら体たいもしれません。金属材料を製品の形に加工する方法はたくさんあり、「鍛造」もその一つ。刃物をつくる鍛か冶じ屋やさんのように、金属を熱して叩たたく方法もありますが、ローラーの加工は常温のまま金型に押し当てる「冷間鍛造」。工場内に入ると、太鼓のように材料を打つ音が響きます。その力強いリズムに合わせて機械から次々と出てくるのが、コロコロしたローラーの原型。それを後の工程で研けんく削さすると、ピカピカに磨かれた精せいう巧こなローラーができ上がるのです。僕は金沢百万石まつりで大太鼓をたたいていましたが、仕事でも大きいサイズのローラー加工を担当しています。大きいローラーの鍛造は、大型の機械を使って、より大きな圧無むだ駄な動きを減らし、準備にかける力をかけるため、金型も早く限界がきます。精度を維いじ持しながら最後まで打ち続けられるかどうかが勝負。大太鼓も強さとリズムを最後まで保つことができなければ、打ち手は務まりません。0.01ミリの加工寸法のずれを修正するため、金型の位置をボルトの締め具合によって調整するのですが、それは数値では示されないため、経験値をもとに皮膚感覚で合わせます。ものづくりは持って生まれたセンスもありますが、大切なのはスピードと効率。作業時間は同じでも、時間を短くすることで、より多く製品を造ることができるからです。時々、手が止まってしまうこともありますが、周りの先輩が気づいてアドバイスをしてくれます。その先輩は自分の目標。今はどう頑張っても追いつけませんが、早く肩を並べられるようになりたいです。釣りと車が趣味の僕は、夜中に起きてマグロを釣りに出かけます。シフトによって、好きなことを楽しめるのは自分にとって最高の働き方。給料は釣り道具に消え、なかなか貯金できませんが、そんなメリハリがいい仕事につながっています。*金型 … 材料を製品の形状に成形するための基となる金属の型。材料は細くて長い鋼材。これが小さく切断され、金型によって様々な形状のローラーを造ることができます。ローラーをつくる最初の工程が冷間鍛造。この後、熱処理や研削加工など多くの工程を経て、強くて高精度なローラーが完成します。24時間、3つのシフトに分かれ、高精度CNC心なし研削盤、低騒音型ベーンポンプの開発・設計・製造。ベアリング組込用各種ローラー、精密ピン・シャフト類の製造。東振グループ[株式会社東振精機]  〒923-1121 能美市寺井町ハ18番地   Tel. 0761-58-5222[株式会社東振テクニカル] 〒923-0061 小松市国府台5丁目1番地1 Tel. 0761-47-4222URL https://www.tohshin-inc.co.jp■代 表 者 代表取締役 中村 翔太 ■設  立 昭和31年  ■従業員数 669名  

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