未来へつなぐために松・杉・柴の3種類の薪を使い分けており、まさに、「手塩にかけて」行っているそうです。大切にしていることは、「良い塩を作ること」と熱く語る登谷さん。今、揚げ浜式で塩を製塩しているところは、数件しかないそうです。だからこそ、「誰にも作れない塩をつくる」ことをモットーに、塩づくりに情熱をそそぎ続けてきた登谷さんの目は光り輝いていました。 塩田村は、「日本で唯一能登にのみ残る製塩法」として、世界農業遺産に認定されています。その伝統を途切れさせないために、働きたいと思う仕事にしていくことが今の登谷さんの目標の一つです。具体的には、働く人のいいところを引き出し、浜士という仕事を安定した職業にすることだそうです。以前は、半年塩作りを行い、後の半年は、出稼ぎなど違う職業や副業を行っていたとのこと。しかし、それでは後継者が育たないうえに、心構えを育てていけない。そこで、今は、後継者を一年雇用にし、長期的に人材を育成することに力を入れています。塩を作らない半年間に、釜炊きに使う薪を割ったり、かん水を来年まで煮詰めたりします。これを1週間に1回行うことで、若い人に働くことの心構えを持たせているそうです。登谷さんの肩は、大きく膨れ上がっています。70キログラム以上ある海水を何十年もくみ上げてきた証がそこに刻まれているのです。決して、あきらめることなく、ただただ、おいしい塩を作りたい一心で懸命に働いてきた登谷さん。塩に魅了された浜士は、今日もまた窯の火を真剣なまなざしで見つめています。 取材協力 (株)奥能登塩田村 〠927-1324 清水町1-58-1 ☏0768ー87-2040 URL http://enden.jp ■代表 水上 浩 ■創業 平成26年 ■従業員数 9人 製塩・販売
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