さくらノート富山県版 Vol.13
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子や孫にのこす未来自分を育て、家族を守る一つをやり続ける力目には見えない安心を子や孫の未来にのこしたい向むこうじま島 伸しんいち一さんんじょう北陸新幹線が頭上を走り抜ける光景も今ではだいぶ見慣れました。現在はJR富山駅の立体交差化に向けて、工事が着々と進んでいます。線路を高こか架にするために必要なのが、下で支える橋はた桁などコンクリートの頑が丈な構こ造物。建設中の現場に入ると、迷路のように組まれた鉄の骨組みが姿を現します。間近で見ると、まるで鉄の編み物のように無数の鉄てん筋が規則正しく組み合わされているのがわかります。その巨大な鉄の芸術作品を造っているのが私の仲間たち。コンクリートを流し込んでしまったら中に隠かれてしまいますが、たとえ見えなくとも、子や孫の代まで安心を残すため、鉄筋を隅々まで張りめぐらし、何万か所にもなる交差部分を一つひとつ手で結けく束していきます。新しい富山駅がその全ぜう貌を現す時、孫を連れて見に行くのを楽しみにしています。くうしげうぞうぶつ嬉うれしく、それが仕事の張り合いになっっきっそんぼ私が最初に習った親方は自分の父親。昔むか気しか質たぎの職人で、よく怒どな鳴られました。外での作業は季節によって辛い時もありますが、慣れたらたいしたことではありません。自分が仕事をした建物があちらこちらに増えていくのがていました。鉄筋に携たずさわって30年。今は若い職人を指導する立場となりました。人が成長するのは、責任を与えられた時。私は要ようょ所しだけ教え、あとは自分たちでやらせます。自分の力で最後までやり遂とげた時の自信に満ちた顔を見ると、私も嬉しくなります。自分の人生を振り返ると、私自身がこの仕事に育てられ、そして家族を養うことができました。かつて自分が鉄筋を組んだ小学校に息子が通い、もうすぐ孫もそこに入学します。この仕事が、家族の未来にも結び付いていることに生きがいを感じます。若い人にとって、将来やってみたい仕事はたくさんあると思いますが、一つの仕事をやり続けることにも意義があります。経験は重ねた分だけ自分の力になり、人のいいところをまねしていけば、もっと成長できます。どんな仕事でも満足できるゴールはありません。一つの仕事でどこまで自分を大きくできるか。一生かけて挑戦してみるのも白いですよ。11橋梁・床版工事、鉄筋加工事業。県内外の橋やトンネル、新幹線の高架橋など多くの建造物の施工に関わっています。旭鉄筋株式会社〒939-3542 富山市水島開発277-11 富山三郷企業団地内Tel. 076-479-0786 URL http://www.asahi-tekkin.com/ ■代 表 者 代表取締役社長 井本 秀治 ■創  業 昭和44年  ■従業員数 20名  (50歳)出身校:婦中町立音川中学校(現城山中学校)、高朋高等学校おもしろ面鉄筋工事旭鉄筋株式会社課長 1級鉄筋技能士

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