さくらノート富山県版Vol.14
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壁を仕上げるアーティスト限りなく上を向いていく型枠大工天に向かって真っすぐに志を立て続けるのが型枠職人の心意気高たかの野 達たつひこ彦さんんか裸のまま覆おおうものもない、むき出しのコンクリート壁は、それだけで美しく、落ち着いた気持ちにさせてれます。デザインするのは設計士さんですが、それをリアルな壁につくり上げるのは、自分たち“型かく枠大工”。決してごまかしのきかない仕事だけに、型枠を外してカタチが現れるまで気が休まりません。壁はすべて直線とは限らないし、段がついて下がっている所もあります。美術館などは建物自体が芸術作品。タマゴのようなカーブを描えく巨大な壁の施せう工を任されたことがありますが、型枠に使う厚さ12㎜のベニヤ板を一枚一枚少しずつ曲げて繋ついでいきながら、セ*パレーターの位置や間かく隔も揃そえないといけない難度の高い仕事でした。「請うけたからには後にはひけない!」気になって夜中に目が覚めたことが何度もありましたが、胸を張って誇ほれる仕事ができました。たわころなこが 勉強が嫌いで、頭より身からだ体を使う仕事がしたいと思って就ついたはずなのに、技能資格の分ぶ厚いテキストを渡された時は正直、「マジかよ!」と思いました(笑)。でもやるしかない。家に帰って毎日眠い目をこすりながら、過去問題と格かくう闘としました。この仕事は資格を取らなくてもやれますが、資格を取る前と後では、仕事に対する心構えが全く変わりました。ベニヤ板を合わせる時もミリ単位にこだわり、決して手てま間を惜おしまない。誰に言われたわけではありませんが、「資格に恥じない仕事をしなければ」と自然にそう思いました。ただ一つ耳に残っているのは、妻が言ってくれた言葉。「仕事をする限りは仕事第一に。そして、職人として頂点に立てるよう努力を惜しまないで!」。まだ自分は褒ほめてもらえないと思いますが、ただ真直ぐにこの仕事に向き合っていきたいと思います。はり学校、病院、マンションなど建物の躯体や工場の基礎などコンクリートの構造物をつくるための型枠工事を手掛ける職人の会社です。株式会社栗山組〒933-0248 射水市本江針山238Tel. 0766-86-0858  ■代 表 者 代表取締役 栗山 信治 ■設  立 昭和56年  ■従業員数 40名  *セパレーター …コンクリートを流し込む型枠の間隔を一定に保つために間に         入れる金具(44歳)出身校:射水市立奈古中学校(現新湊中学校)、高岡第一高等学校 "大工さん"というと木造の家を建てる職人をイメージすると思いますが、"型枠大工"はコンクリートの建物や構造物を造る職人。私たちが造る型枠にコンクリートが流し込ま、壁、床になります。れ、固まると建物の柱、梁完成すれば取り壊してなくなりますが、それもこの仕事の美学。県内の有数な建築物にも、私たちの仕事が必ず関わっています。16型枠大工株式会社栗山組工事部職長 登録基幹技能者 1級型枠施工技能士

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