富山県版 Vol.17
19/24

看護師になって30年の山村さんは、ある病院の看護師長。毎年、看護学校を卒業する学生の面接に立ち会います。いつも学生たちに聞くのは、「なぜ、看護師になりたいと思ったんですか」という質問です。ある女子学生に、いつもの質問をしてみた時、こんな答えが返ってきました。「私がまだ、小学校6年生の時、心臓が悪かったおじいちゃんと一緒にこの病院に来たことがあります。帰りのバス停で、急におじいちゃんは具合が悪くなって、突然倒れてしまいました。その時、バスを待っていた女の人が、すぐに駆け寄ってくれ、おじいちゃんを介抱してくれました。その女性は、『大丈夫よ。私は看護師です』と言って、処置をしてくれたおかげで、おじいちゃんは助かりました。その看護師さんはお仕事が終わって、帰られるところだったと思いますが、ずっと私達に付き添ってくれました。その人に出会って、私も人を助けられる看護師になりたいと思いました」。そして、その女子学生はこう付け加えました。「その看護師さんのお名前を聞くことはできませんでしたが、お顔は今でもはっきりと覚えています。その人は、あなたです」。17カッコいい大人は、どんな時でも、自分の職務を忘れない人である

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る