【合併号】富山県版Vol.25&PROCEED Vol.8
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航空管制官として私が初めて配属されたのは、東京国際空港(羽田空港)。日本一高い115.7mの管制塔には、1チーム10数名の航空管制官が、6チームで交替しながら24時間365日、目まぐるしく業務に就いていました。航空保安大学校で8か月間の研修を受けたとはいえ、日本最大、そして最多の発着回数を誇る羽田空港に配属されてみると、夢だった航空管制官になった喜びと同時に緊張感も高まりました。パイロットと無線で交わす言葉は全て英語。ネイティブではない英語を聞き取るのに苦労したり、乗客に急病の方がいらっしゃって、優先着陸のリクエストにも立ち会いましたが、イレギュラーなケースにも対応できるようシミュレータで何度も実習してきたので、実際の管制業務で戸惑いはありませんでした。羽田空港での勤務経験を経て赴任したのが富山空港。初めて運用室に上がると、雄大な立山連峰を背に360度のパノラマ風景が目に飛び込み、その神々しさに思わず立ちすくみました。異動になった場合、改めて訓練が必要となります。日本で唯一、河川敷に立地している富山空港は、間近に堤防や高速道路があって敷地が制約されており、一般的な空港と比べて設備が少なく、一から勉強しないといけませんでした。富山空港では、立山黒部アルペンルートでの救急や登山客の救助に向かうヘリコプターの緊急離陸が頻繁にあるため、片時も気を緩めることはできません。立山連峰を超え、また富山湾を渡って到着機が近づいてくる状況で安全性と効率性を確保するためには、航空機の位置関係を瞬時に把握し、管制間隔を意識して、適切な情報および指示をパイロットに伝える必要があります。自分が発する言葉ひとつで安全が左右されるので、言い間違えが無いよう、相手の目線に立って方角を指示するなど、全神経を集中させます。私は幼い頃、パイロットに憧れ、空に夢を馳せてこの仕事に就きました。コックピットにつながる無線から聞こえてくる声の調子にパイロットの気持ちを感じ取り、相手に合わせたわかりやすい話し方を心がけています。26(26歳)サウナに入って何も考えず、ボーっとしている時間が好きです。名水に恵まれた富山は水風呂が最高に気持ちよくてハマリました。出身校:開智中学校、開智高等学校(和歌山県)国土交通省 航空保安大学校航空管制科 修了兵庫県立大学工学部 電気電子情報工学科 卒業      富山空港(富山きときと空港) 航空管制官 S.Tさん空への憧れが使命感に変わるとき空への憧れが使命感に変わるとき日常の幸せが特別なものとなる日常の幸せが特別なものとなる飛行場 航空管制航空管制官

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