駆くし使します。暗闇の中、作業の多くを“人力”に頼るこの仕事に求められるのは、安全に徹することと全員のチームワーク。ひとり一人が危険を予知し、対策を共有してから作業に取りかかります。鉄道は世界中にあって、様々な国で同じ仕事をしている人たちがいると思いますが、日本の鉄道が世界で最も安全だと言われるのは、自分たちの技術がきっと世界一だということ。夜が明けて辺りが明るくなり、新しくなったまくら木がどこまでも真直ぐ続くのを全員で見渡した時、「いい仕事をした」と、心ここち地よい疲れを感じます。一いっく刻こも早く、電車が走れる状態にす北陸新幹線が敦つるが賀までつながった今年の3月。記念品として工事関係者に配られたのは、日付が刻こくん印いされたレール型の文ぶんん鎮ちでした。ずっしりと手に伝わったその重さに、自分が果たした責任の大きさと、長かった敦賀での生活を終え、家族の元へ帰れる喜びを感じました。新幹線のレールを新たに敷設するため*、ど道うしう床ょから造っていったのは初めて。毎日、自分で弁当を作ったことや、妻から出産の知らせを聞いて、夜中に富山まで車を飛ばしたことなど、人生で初めて経験したことが多く、心に刻まれた現場でした。今年は正月を返へんじ上ょうし、能登半島地震で歪んだ線路の復旧工事から始まりました。長い間、仕事をしてきてあんな惨さんじ状ょうを目にしたのは初めて。るため、雪の日も除雪を行いながら工事を続けました。土木の仕事に携たずさわる人はたくさんいますが、鉄道工事は特殊なため、鉄道に関する知識と安全に作業を行うためのルールをしっかり身につけなければなりません。使用する重機も同じように見えますが、軌道(レール)上でも移動できる「軌き陸両用」の特殊車両は、地面の上で動かすのと異なり、操そうじ縦ゅうする技術と経験がかなり必要です。誰でもすぐに代わりが務まるものではないので、自分の体調管理はしっかり行なっています。人として入社し、リーダーである伊東さんの下で仕事を覚えてきました。富山県には、あいの風とやま鉄道、氷見線、城端線、高山本線などの在来線があり、総距離は約200㎞。まくら木を交換するとしても、場所によって地質や環境が違うので進み具ぐあい合も変わります。天候や列車の運行状況、作業人員を見みわ極め、現場を采さいい配はするリーダーの統と率力をいつもリスペクトしています。油断すると事故につながるので、仕事には厳しさが伴ともないますが、仕事を離れたら上も下も関係ありません。言わずとも、仕事の誇りを胸に秘めた仲間同士だからこそお互いを尊重できる。そんなチームワークを大切にしていきたいです。りくりょうよううそつりょく■山田 知宏さん自分自身のレールを敷くき 62oV4202ETON.lARUKAS*道床 … レールとまくら木の下にある砕石やコンクリートの部分。15年前、私は軌道部で初めての新人の上に立つようになっても、意見を言ってもらえるリーダーでいたい。それがチームを育てることにつながると思っています。軌道上を動く重機を手先のように使い、レール下のバラスト(砕石)に埋まったまくら木の交換を行います。河川、道路、砂防などインフラ整備を中心とした土木工事や公共施設の建築工事、鉄道の保守点検を含む軌道工事にも参加。「地域の夢を叶える」建設のプロ集団を目指しています。中越興業株式会社〒939-1844 南砺市野口800Tel. 0763-62-1221 URL https://www.tyuetsu-kogyo.co.jp ■代 表 者 代表取締役社長 山下 博 ■創 業 昭和21年 ■従業員数 95名
元のページ ../index.html#3