61oV9102.l たかかちよETONARUKAS■柴田 誠士さんメジャーになるのはこれから分がやりたいと思うことができるのは幸せなこと。小さい頃からものを作るのが好きで、ミニ四よんく駆を速く走らせるために軽量化したり、モーターやタイヤを改良するなど、夢中になっていた記憶があります。室長から出される高度な要求を一つひとつクリアしていき、試作機も完成しました。後は、これを広めるための課題を検けんう討とし、量産体制にもっていくことが次の目標です。コーセルは、国内では大きなシェアを持っていますが、海外ではまだ名前が知られていません。でも、もうすぐそれも変わる。ゴールを目の前に、確かな手ごたえを感じています。東京の大学に進学した本当の理由は、バンドをやりたかったから。密かにメジャーデビューをめざし、スタジオミュージシャンのアルバイトをしたり、アーティストのライブでギターを弾いていました。あの東日本大震災が発生したのが大学3年生の時。テレビ中継で原子力発電所が爆発するのを見た私は、その年の夏休みにバイクで被災地を訪れました。いたる所が封ふうさ鎖され、家も人も消えてしまった市街地を見た瞬間、言葉を失いました。大学で電気工学を専せんう攻こしたのは、エレキギターの音を変化させるエフェクターの電子回路に興味があったからですが、あの原発事故をきっかけに“発電”に関心を持つようになりました。この会社で開発しているのは、電気で動くあらゆるものに搭とうい載さされている“電源装置”。電気は発電所から送られてきますが、電気製品や機械を正常に動かすためには、それらに適した電圧に変へんん換かする必要がありま採さいう用よが決まったことがあります。いす。その役割を果たしているのが電源装置ですが、用ようと途によって数多くの種類があり、どんな仕しう様が必要とされているのか、まずはお客様を知ることから始めなければ、開発はできないと思いました。入社して数年間は、製品を使っていただいているお客様のサポートに携わり、産業機械を開発する様々なメーカーの技術者の声を聞いてきました。電源に求める付ふ加価値や優先させたい性能、ご要望に応こえるスピード感など、製品開発にとって大切な感覚を養うことができました。あるお客様との話をヒントに、電源の仕様を検討して提案した結果、日本全国にある通信機器の基地局でただいた発注数のあまりの大きさに、電卓をたたく手が震えました(笑)。半年前から研究室のメンバーとして取り組んでいるのは、“頭脳を持った電源”。完成すれば世界初となる製品です。4月に開催された日本最大級の専門技術の展示会で試作品を紹介したところ、「発売になったらぜひ使いたい」という声をたくさんいただきました。音楽ではメジャーになり損そこねた私ですが(笑)、なんだかブレークしそうな予感に、ちょっと興奮しています。あらゆる電気機器に欠かすことのできない直流安定化電源装置の設計、生産、販売。産業・業務用電源の多くを占める標準電源では、国内トップシェアを誇ります。コーセル株式会社〒930-0816 富山市上赤江町一丁目6番43号Tel. 076-432-8151 URL https://www.cosel.co.jp/■代 表 者 代表取締役社長 谷川 正人■設 立 昭和44年 ■従業員数 539名(2018年5月期)電源については大学でも勉強しましたが、タイプは数百種類あり、会社に入ってから勉強することのほうが多かったですね。発電に興味を持った私は、大学では潮流発電の研究をしていました。
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