43oV0202ETON.lARUKASいだ 5■山本 りこさん人生の最後に出会う奇跡の言葉に自分が必要とされていることを強く感じ、ありがたい気持ちになります。人間には必ず寿命の尽つきる時が来ます。前日まで側そばでお話していた方が、翌日にはベッドにはいないという現実も、ここでは珍しいことではありません。僕はいつか僧そうょ侶りとなる身ですが、一日一日、限りある命と向き合う仕事に出会えたことを幸運に思います。まで必要とされる尊い仕事。その役割をしっかりと担になうために、介護士としてこれからも修行を続けていきます。介護士は、輝く命の最後の瞬間高校時代、初めて自生園に実習に来た時、すごく楽しそうなおじいちゃんやおばあちゃんたちを見て、「カワイイ!」と思ってしまいました(笑)。おむつ交換も特別にやらせてもらったのですが、初体験ながら割とうまく出来ました。私はそれまで保育士を目指していたのですが、お年寄りが相手のほうが自分に合っていそうな気がしました。しかし、それが間違っていたかもと思ったのが、働いて2か月くらい経った頃でした。いつも不ふき機げ嫌んそうで何かにつけて悪態をつくおばあちゃん。認にん知ちし症ょうには珍しいことではないのですが、まだ経験の浅い私の心に重くのしかかり、慣れない夜やきん勤の時はもう、半泣き状態でした。「また何か酷ひどいこと言われるんやろか…」と恐おそる恐る、そのおばあちゃんをトイレにお連れすると、「あんた、よう頑張っとるの知っとるよ!いつもありがとね」と言って、私の手を握ってくれたんです。そのとたん、涙がポロポロあふれてきて、眼めを真っ赤に腫はらした自分の顔が鏡に映っていました。「この方のために、仕事を頑張りたい!」そう思うことができました。それ以来、私の顔を見ると、「来たんか。ここ座り」と椅子を空けて優しくしてくれるようになり、毎日会うのが楽しみになりました。その方は百歳近くまで長生きされ、ご家族から最さご期は心穏おやかだったとお聞きし、悲しいけど気持ちは晴れやかでした。「夕暮れ症候群」といって、夕方になると皆さんソワソワし始め、立ち上がってどこかに行こうとしたり、騒がしくなります。認知症の方の気分を読むのは難しく、落ち着いてもらうのにてんやわんやする時もありますが、5年も経つと情が移り、そんなおじいちゃんおばあちゃんも「カワイイな!」って思えるようになりました。私にも祖父と祖母がいて、両親から「よろしく頼むね」って言われます。自分にとっては、自生園の入居者の皆さんも私のおじいちゃん、おばあちゃんみたいな感覚。長い人生の最後に出会えた奇跡に感謝し、一緒に過ごせる時間がお互い素晴らしい思い出となるよう、楽しく見守り続けたいと思います。特別養護老人ホーム、デイサービスセンター、グループホーム、小規模多機能ホーム等の運営。視覚に障がいを持つ高齢者に特化した養護(盲)老人ホームは県内唯一。社会貢献事業に注力した介護施設です。社会福祉法人 自生園〒923-0331 小松市上荒屋町ソ4 番地10Tel. 0761-65-1800 URL https://jishoen.com ■代 表 者 理事長 木崎 馨山 ■創 業 昭和56年 ■従業員数 204名 将来は、お年寄りの介護ができる僧侶として、地域の人たちの役に立ちたいと思います。中学時代は柔道部。石川県で1位になり、全国大会にも行きました。今年3月に国家試験に合格。晴れて介護福祉士になりました。
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