橋はしもと本 直なおき樹さん私がこの会社を知ったのは学生の頃。大学の先生が、「面白い社長さんで社員もみんな若いから、将来楽しみな会社だよ」と、先せい代社長夫妻のほのぼのとした似顔絵を描いて見せてくれたのが印象に残っています。金沢城の石川門の金具を作ったという鍛か冶屋に端たを発する鉄工所が、時を経て、自動車産業や船せく舶、資源開発の他、航空宇宙産業など国家的なプロジェクトにも貢こん献しているというのは想像しがたいですが、あの先生は似顔絵のセンスだけでなく先せん見の明めもあったんだと、今になってそう思います。現在、私たちが造っているものは、どれもトップシークレット。詳しい説明はできませんが、使われているのは、海水を淡た水化するプラントなどで使われるポンプ、リチウム電池用特殊フィルムの製造装置、遠え心分離機、国産ロケットなど、時代の最先端をいくテクノロジーなのです。んだいやんじくんけんぱうけんすいかんしんぶんりき長さが数メートルもある巨大な円筒状の金属を旋せんん盤ばという工作機械に載せて回転させ、刃物をあてて切せっく削さします。一見、鉛筆を削るような感じですが、重いもので10トン近くありますから、長く細くなるほど中間がたわみ、高い精度で仕上げるのは至しなん難のわざ。材質も特殊なので、相性のいい切削工具を見みきわ極め、回転速度を調整し、発生する熱を抑おさえるなどベストな条件を探す必要があります。私が初めて手掛けた国産ロケットの噴ふんゃ射しノズルは銅が使われていて、一から手てさぐ探りで加工しました。完成した製品は、大きな動力を伝えるシャフト(主軸)や、特殊なフィルムを成形するロールなど、技術の粋すいを集めた機械や装置に組み込まれます。それらを見事に造り上げるエンジニア一人ひとりが会社のシャフト(柱)。この技術を次世代につないでいくのが私の役割だと思っています。人間性を謳うたい、創業百年どんなに革新的なテクノロジーも、“つくる技術”がなければ実現しません。それを行うのは人です。私はこの会社でゼロからものづくりを教わるとともに、いろんな機会をいただき、人間形成もできたと思っています。人が育たないと技術は育ちません。技術力だけでなく、人間性を謳う会社だったからこそ、創業百年を迎えられたのだと信じています。似顔絵に託たした未来技術の柱は『人』一人ひとりが支える技術その芯は決してブレることはない(45歳)長尺・大型・難削材の金属部品機械加工および組立。株式会社中川鉄工所〒924-0007 白山市倉部町2024番地Tel. 076-276-0711URL http://www.nakagawa-t.com ■代 表 者 代表取締役 中川 幾美子■創 業 大正9年(1920年) ■従業員数 28名出身校:志賀町立志賀中学校、石川県立高浜高等学校(現志賀高校)株式会社中川鉄工所製造課マネージャー大型部品機械加工
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