74102ETONARUKAS仕事が自分を育てる一つを極める強さ に関する知識はゼロに等しかった私ですが、経験を積み重ねるにつれ、大きな現場を任せてもらえるようになりました。私の場合は病院関係の工事が多く、いつの間にか医療関係の施設は、決まって自分が監督に指名されるようになりました。リーンルーム(無菌室)や手術室など特別な部屋があったり、各病室には酸素吸入など医療ガスの配管が通っていた大学時代は機械工学を専せう攻し、建設一般の建物と違って、病院にはクんこり、検査室にはいろんな機械が設置されます。衛生面においても、特殊な排水については直接下水道に流さないようにするなど、空調、給排水ともに繊せい細かつ複雑な施工技術が必要となります。多くの人の生命と健康に関わりますから、決して失敗は許されません。一度の人生、現場監督以外の仕事にも挑戦してみたいと思ったことがあります。新たな部署への異動が決まりかけていたちょうどその時、ある病院の新築工事の仕事が入ってきました。んさ「お前にしかできん。行ってくれるか?」との上司の要請に、私は、つい「行きます!」と返事をしてしまいました(笑)。それから数年経たちましたが、今も能登地区の病院の現場で指揮をとっているということは、自分のやるべき仕事はここにあるということなんだと、改めて気づかされた気がします。あまりにも困難な現場に、逃げたくなった時もありましたが、私に責任ある仕事を与え続けていただいたことに感謝しながら、自分が関わった病院で生涯を閉じるのもカッコいいかなって思っています(笑)。取 材 協 力空調・衛生は、健康を守る設備。地域の多くの人々に役立つ仕事です。菱機工業株式会社〒921-8526 金沢市御影町10番7号Tel. 076-241-1141URL http://www.ryokikogyo.co.jp/■代 表 者 代表取締役社長 北川 雅一朗■創 業 昭和5年■従業員数 362名空調設備や給排水衛生設備、防災設備、クリーンルームなどの設計・施工を中心に取り組んでいます。環境問題への注目が集まる中、各種エネルギーコストの削減を提案するESCO事業にも力を注いでいます。担当した建物が竣工し、新聞に大きく出ると、大きな達成感を感じます。 力関係よりも信頼関係現場で多くの人たちと仕事をやっていく上で最も大切なのはコミュニケーション。工事を発注するお施主さん、建設会社、設計事務所、職人さん、近隣住民の方々など、私の部下たちも含め、一つの建物が完成するまでに実に多くの人と関わります。会社も年齢も異なり、お互い初対面の場合もあるので、監督として指示をしたり話を聞く時も、相手の立場を理解し、気持ちを考えて話すことが大事です。私が若い頃の担当上司の人たちは、現場で自ら考えて、自分でやることに対して否定はせず、遠くで見守ってくれました。のびのびと自由にやらせていただいたおかげで成長でき、責任を持って仕事をする心構えが身についたと思います。気持ちよく人に動いてもらうには、力関係よりも信頼関係。そのためには日頃のコミュニケーションがやはり大切ですね。
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