―いつか花さく君たちへ―

自動車工場の生産ラインを覗くと、たくさんの溶接ロボットがまるで生き物のように自在に動いて火花を散らし、いろんなパーツを繋ぎ合せて車のボディを造っています。その溶接ロボットの先端に付いている「溶接ガン」と呼ばれる抵抗溶接機は、お客様の利益を生み出す装置。新車を買うのと同じ気持ちで、完成するのを楽しみに待ってくださっています。より高い価値を生み出し、お客様に喜んでもらうことが自分たちの利益。私たちは仕事を通して、たくさんの喜びをカタチにしているのです。(機械加工係　Oさん）

抵抗溶接機は、金属のパーツを挟んで圧力を加え、大電流を流してくっつける仕組み。そのパワーを生み出す「トランス（ 変圧器）」には、テープ状に巻かれた美しく輝く銅製のコイルが組み込まれます。小さい頃、大工だった祖父の作業場で遊んでいた僕は、ものに細工することが好きでした。自分ができる仕事は、まだ製造工程全体の一部ですが、作業のスピードや正確さが向上するとみんなが褒めてくれ、意欲が湧いてきます。(トランス係　Fさん）

「鋳造」は、技術革新が進んだ現代でも他に置き換えることのできない、唯一無二の技術。成形しやすく、電気の伝導率がきわめて高い銅は、様々な部品に姿を変え、私たちが造る抵抗溶接機にもたくさん使われています。内部に空洞のないきれいな良品を造るには、知識だけでなく、研ぎ澄まされた五感と積み重ねてきた経験値が必要。言葉では表現できない職人的な技だから、私はその魅力に取りつかれたのかもしれません。(鋳造係　班長　Hさん）