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ひとそれぞれの職業観
2007/05/05 07:05

  知らない世界でも、飛び込んでみる
 チャレンジ精神 

 
 株式会社イスルギ 左官職人の銭丸(ぜにまる)さん
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 とはいっても、職人の世界はやはり厳しい。仕事は早朝から始まり、夜も遅い日が続くこともある。
 左官の仕事は、時間がきたからここでおしまい、また明日というわけにはいかない。ひとつの壁を塗り上げるまでは、どんなことがあっても帰れないのだ。特に冬場は壁の乾きも遅いので、時間がかかる。
 仕事の厳しさに耐えきれず、辞めていった同期の仲間や後輩も少なくない。
 銭丸さんは、そんな仲間の相談にもよくのったという。腹がすいている後輩に自腹で焼肉をおごってやり、話を聞いてやるそうだ。
  
 技能五輪で世界一になり、すでに10年以上もキャリアをつんでいるにもかかわらず、決して驕(おご)ることなく、未知の左官技術にチャレンジしていきたいと語る銭丸さんの目は、まるで入社したばかりの新入社員のように好奇心に満ち、輝いていた。


 
 好きだからこそ継いだ家業
 
 杉本水産 杉本社長
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 と自ら店頭にたつ杉本社長。あざやかに焼き上げられ、たれをくぐり、並べられたうなぎの蒲焼は芸術品。
 夏でもないのに、蒲焼を買い求めるお客さんが後をたたない。その多くが常連さんらしく、会話をかわす杉本社長の表情から、やはりこの仕事が好きなんだなということが伝わってくる。
 空いたトレイには、次から次に焼きあがったうなぎが補充される。白熱灯に照らされ、ブロンズ色に輝く肉厚のうなぎの蒲焼をみていると、辛抱たまらず、白いゴハンにのせたくなる。  
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 おじいさんの代から続く家業だけに、最初から継ぐ覚悟をしていたという杉本社長。言葉には出さないけれども、先代が築いてきた信頼と味を守っていくことの責任は、ご自身にしかわからない重圧に違いない。
 杉本社長の場合は家業という与えられた職業に違いないが、それを一生の生業(なりわい)として受け入れることを選択し、みごと自分の天職として昇華し、楽しんでいるようだった。


 仕事のやりがいは、仕事をとおして
自分で見出すものかもしれない

 村昭繊維興業㈱ 表 潤一さん
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かつて日本の独壇場であったモノづくりが、今や、中国などアジア地域の国にとって代わられている。そこで製造された低価格の商品が世界中を席巻している。
 
 じゃあ、いわゆる“メイド・イン・ジャパン”はどうなったのかというと、
 ‘MIJ(メイド・イン・ジャパン)=COOL(カッコイイ)’というのが、
今、世界的な「日本ブランド」のイメージ。「やっぱ、日本製はデザインや機能が他と違って、イケてる(←今、使わないかな?)」らしい。
 ガイジンは人と差をつけるために、日本ブランドの商品を買うのだ。
 村昭繊維興業さんが造っているのは、「かさ高加工糸」。簡単にいうと、まっすぐな合成繊維の糸をケバ立たせて、まるでウールのような風合いの糸を作り出すのだ。といっても相手はミクロン単位の超極細の糸。これにそういう加工を加えるのだから、いかにスゴイ技術かってことがわかる。
 表さんは、開口一番あっさりと言った。
 「糸をつくることが好きか?なんて聞かれたら、好きなわけないですよ!(笑)」
 「僕が毎日つくっているのってコレですから。」と実物を持ってきて説明をしてくれた。
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 では、表さんは何に「やりがい」を感じているのかっていうと、「チームワーク」。
スポーツマンらしい答えだった。
スポーツにもマラソンやテニスといった個人競技と、バレーやサッカーのような団体競技があるように、モノづくりにも一人でつくるものと、みんなで力を合わせてつくるものがある。
 特にたくさんの量を生産する場合は、チームワークが必要となるのだ。
 「いいものをつくろう」という気持ちをチーム全員が持ち合わせることで、いろんなことに気づいたり、よりよい方法を生み出したりすることができる。それが目に見える結果となって表れた時、喜びを分かち合える。そういった仕事の「やりがい」もあるのだ。
 


 むずかしく考えるより
楽しんでみるのも手

 
 イーピーエム・コーポレーション 村田 智 さん
 
 昔、聞いたことのある実際にあった話。
 
 サッポロビールという会社の面接にきた、ある大学生の話である。
 人気企業だけに、毎年大勢の学生が面接を受けにやってくる。
 何時間も待たされ、ようやく順番が回ってくるが、面接時間はたったの10分足らず。狭き門である。
 ある大学生の順番がまわってきて、面接が始まった。
面接官 「あなたの尊敬する人物は誰ですか?」
大学生 「・・・・・・(無言)」
面接官 「では、今までで一番感銘を受けた本について教えてください。」
大学生 「・・・・・・(無言)」
面接官 「君、私の質問が聞こえませんか?それともしゃべれないのですか?」
 終始、黙っているその大学生に、面接官はイライラしながらそう聞いた。
 それでも彼は、ひと言もしゃべらず、学生服のふところから、なんと缶ビールを取り出すと、その場でプルタブを抜き、ゴクゴクと飲み干してしまった。
 そしてひとことこう言った。
 「男は黙ってサッポロビール。」
 その大学生は見事採用を勝ち取った。
 
 
 *「男は黙ってサッポロビール」というのは当時流行ったテレビコマーシャルで、故三船敏郎が何もしゃべらず、サッポロビールを飲み干し、最後にひと言このセリフをいうのである。
 村田さんの話を聞いていて、この話を思い出した。
 このサッポロビールの大学生にしても、村田さんにしても、勇気と行動力があるのはもちろんだが、すぐれたパーフォーマンス能力を持った人だなと思う。
 パーフォーマンスとは、相手の心を揺さぶり、惹きこむ能力。相手を「ニヤリ」とさせたら勝ちなのだ。
 営業(販売)の面白さはこんなところにあると思う。
ちびまるこちゃんのうたに出てくる「エジソンはえらいひと」のエジソンは、誰でも知っている発明家だけど、エジソンは白熱灯や録音機、映写機などを発明した人であって、それらを売ったわけではない。エジソンの発明したものを商品化し、実際に売ったのはバーンズという人物。(意外とこのことは知られていない。)バーンズがいなかったら、エジソンもそんなに有名にはなってなくて、ちびまるこの歌にも登場しなかっただろう。
 人は何を買うかを決めたら、それをどこの誰から買うかを考える。むしろ、そっちの方が重要であったりする。特に大きな買い物をする時はね。


この人のスピード感覚は超人的
ゴーゴーカレー 宮森 宏和さん
とにかく、この人は行動が早い。
勤めていた会社を退職したのが8月で、翌年の5月に第1号店を新宿でオープンさせている。スゴイ!。
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さくら*ノートに掲載する記事の確認をお願いするために、宮森さんの携帯に電話をかけた。
私   「今、どちらですか?」
宮森氏 「今、ニューヨークです。」
私   「じゃあ、原稿の確認は日本に帰ってこられてからになりますね?」
宮森氏 「なんでしたら、メールで送ってください。見ますから。」
私   「じゃあ、そうさせていただきます。」
宮森さんは、ニューヨークでのゴーゴーカレー開店準備のため、超多忙。私と電話をしながらも他の電話で打合せをしていた様子。
これはヘタすると、創刊号に間に合わないかもしれないな。と思いながら、メールで原稿を送った。
メールを送信したなんと15分後、ニューヨークにいる宮森さんから返信が届いた。
創刊号で載せなかったが、宮森さんの幼少の頃の写真を貸してくださいといった。その写真がこれだ。
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きっと彼はこの時、ドラえもんから‘どこでもドア’をもらったに違いない。・・・・・絶対に間違いない!


人間より動物が好きっていう人は
いい獣医にはなれない?!

みやの動物病院 能登診療所
藤本 やす子さん
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 動物が相手だから、人づきあいが苦手でもいいかと思ったら大間違いだ。
 確かに、しゃべれない犬や猫にかわって話を聞くのは飼い主さんだ。
ペットが病気になったのも、飼い主さんに原因があることのほうが多いかもしれない。
 それを聞き出すことができなかったら、最適な治療を施すこともできない。
 そして、仮に飼育方法に間違いがあったとしたら、大切な家族の一員のために改めてもらえるよう、飼い主さんが納得するまで説明することも必要だ。
 犬猫など、ペットをわが子同然に思っている飼い主さんも多い。獣医さんって、小児科と同じようなところがあるかもしれない。