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ものづくりの原点
2009/04/04 04:04

最近、「学生の理工系離れ」とか、「若手技術者不足」を懸念する声をよく聞く。
「どうすれば、もっと今の若い世代に‘ものづくり’の魅力を伝えられるでしょうか?」
という相談を、工業系の大学や高専の先生から実際に受けたことがある。
今日、久しぶりに㈱吉田倉庫の吉田社長にお会いして、そんな話になった。
「鉛筆を自分で削らなくなったからだよ」
「ナイフで鉛筆を削ることなんて、今どきのガキは知らないし、
うまくきれいに削れたときの喜びもわからないよな。
ウチじゃ、シャーペンなんて禁止してっから・・・」
単純明快。なおかつ的を得た回答だった。
小学生の頃、母がよく僕の鉛筆を、折りたたみ式のカッターナイフで
削ってくれたことを思い出した。
削り終わり、傍らに並べられた鉛筆は、どれも実にきれいな六角形をしていて、
見ていて飽きなかった。
自分でも削ってみたことは何度もあるけど、これがなかなか上手くできない。
カッターを入れる角度や力の入れ方で、形がいびつになってしまう。
気がついたら、長かった鉛筆が使う前に短くなってしまったこともよくあった(笑)。
戦後、昭和20年~30年代はまだそんなにモノが豊富じゃなかったから、
おもちゃなんかは、みんな自分で作っていた。
鉱石ラジオやモーターなんかも自分でコイルを巻いて作ったという覚えのある人も
少なくないと思う。
電化製品も故障したら、親父がハンダづけをしたりして直してくれたもんだ。
ところが、現代の子供(若い親たち)はみんなコンピューターゲームで育ってるし、
最近の電化製品はめったに壊れないし、壊れたら直すより、新しいものに買い替えたほうが安いという感覚に慣れてしまっている。
「ものづくり」をしたことがない子供に「ものづくりの楽しさ」なんてわかるはずがない!
実はこの吉田社長、ラジコン飛行機の世界では知る人ぞ知る有名人。
「一時は、熱中しすぎて仕事してなかったよ(笑)。」と反省しつつ(?)も、
工房で製作中の模型飛行機を見せてくれた。
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吉田社長は “からくさマニア” でもある
良い、悪いは別にして、やっぱり、仕事や勉強も忘れるくらい熱中できるものが
あった方が人生楽しいよね。
それが、仕事や勉強につながったら、こんな幸せなことはない。
‘ものづくり’に興味を持たせる。
それにはまず、シャーペン禁止。鉛筆削り器禁止。そしてカッターで自分で削る。
そこから始めてはいかがだろうか!