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創刊10年目を迎えるときにおもう
2015/12/29 12:12

さくらノート第1号を創刊したのは、今から8年半前の
2007年4月。すべてがゼロからのスタートでした。

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当時は、各学校への梱包作業も家族総出で
創業当初、実績も信用もない個人事業主の仕事を
引き受けてくれる印刷会社はなく、こちらから足を運ん
で頼みに行ってもほとんど門前払い。
ようやく見つかった印刷会社からトラックで届いた100箱
のダンボール箱の山を見上げた時、嬉しさよりも、
「さぁ、これからどうしよう・・・」
という不安に心が押しつぶされそうになった感覚を思い
出します。
「学校は、生徒に配ってくれるだろうか?もし、『要らない』
と言われたら・・・」
そんな恐怖心を抱えながら、一番初めに訪れた中学校。
インクの匂いがする真新しい「さくらノート」を手にとり、
中身を見入る校長先生。沈黙が流れ、ゆっくりページ
をめくるかすかな音が耳に入るたびに、緊張が私の身体
をこわばらせていきました。
最後のページを閉じ、先生の口から出た第一声。
「で、何冊もらえるの?」
「30冊でも50冊でも、100冊でもかまいません」
そう答えた私に、校長先生から返ってきた言葉は、大きく
膨らんでいた不安を一瞬にして感動に変えてくれました。
「じゃあ、生徒全員分もらおうか」
「ちょっと待って。これだったら、先生たちにも読ませたい。
プラス先生の分ももらっていいですか?」
急いで車に戻り、積んできた1箱200冊入りのダンボール
を2箱台車に載せて廊下を急ぐ。中学校の職員室はたいてい
2階にあって、その隣が校長室。階段は箱を抱えて持って
上がらないといけなかったが、合わせて30kg近い重たさも
喜びに感じるほど、胸が弾みました。

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リーマンショック直前の創業2年目。第1期のスタッフたち。
(金沢市彦三の事務所)
全ての学校が同じというわけではなかったが、全体の6~7
割は活用を申し出てくれました。
最初は導入に消極的だった学校からも、発行を続けていく
うち、異動してきた先生から電話がかかってくるようになり、
「前にいた学校では生徒に配って活用していたので、こちら
でも生徒の人数分送ってもらえますか?」
と、気がつけば、高校の進学校を除いてほぼ100%導入して
いただけるようになっていました。

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地元テレビ局の取材
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今は、文部科学大臣となられた馳浩代議士が突然立ち寄って
くださいました。
現在は石川県版の他、富山、神奈川、北海道と発行エリアも
拡がり、発展してきたように思われますが、今までの道のりを
ふり返れば、その当時のやり方が正しかったかどうか、反省
すべきことは山のようにあります。
この事業に社員やスタッフとして参加していただき、去って
行かれた方々も少なくはなく、経営者、企業家としての自分の
資質を問いかけると、実に恥ずかしくなります。
さらに家族に対しても、自分はどうだったのか?きっと、責めら
れることの方が多いと思います。
来年でようやく10年。まだ10年。
最近、取材に行くと、「中学、高校時代にさくらノート読んでました。
自分がこれに出るなんて・・・」と嬉しそうに話してくれる若い方に
出会うことも多くなりました。
創刊当時、中学1年生で初めてさくらノートを手に取った人が
今は大学3年生。中学、高校の6年間、さくらノートを読んでくれ
ていた若い人たちが知らず知らずに増えて、大学等に進学したり、
社会人になっています。
そのうち、「私のお父さんが若い頃、さくらノートに出たんです」と
言う方に出会うこともあるかもしれません。
次の10年、さらなる10年と、さくらノートが世の中にとって価値
あるものであり続けるために歩み続けたいと思います。