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新聞の投稿記事
2008/09/11 08:09

新聞の投稿欄を読んでジーンときたので紹介したい。
― 再就職した母を見て思う ―  東京都 20歳男性
 最近、「働く」ということについて考えさせられる。
お盆休みに金沢の実家に帰り、母が働き始めたことを知った。
以前、旅行代理店に勤めていた経験を生かし、今回も同じ職種に就いたようだ。
 ネットの普及などで業務は複雑化し、悪戦苦闘の日々を送っているそうだ。
母いわく、経済的な理由で働き始めたのではないらしい。
なぜ、働こうと思ったのか。母に問うと
 「働いとる方がいいんや」としか答えてくれなかった。
 私も大学3年の秋を迎えたが、1年数ヶ月後に社会に出る自分の青写真をまだ
描き切れていない。不安や焦りの方が大きい。
 ただ、50歳を前にして再び働く母の姿は心強く思えた。
 また、「一人の働く人」として親の姿を見つめると、今まで以上に尊敬の念や
感謝の気持ちがあふれてきた。
 就職活動の手本となる人は、実は身近にいたのかもしれない。
                                  北国新聞 地鳴りより
 小学校の頃、発電所で働いていた父に、弁当を自転車に乗って届けたことがあった。
金網で囲ってある発電所の裏口で待っていた父は、それまで一度も見たことのない
カーキ色の作業服にヘルメット姿。
初めて目にする働く父の姿はかっこ良く、感動した。
 まだ僕が中高生だった頃、遠方の会社に転職した父は、夜明け前に家を出て、
1時間以上かけて通勤していた。母は父よりも先に起きだし、朝食を用意していた。
 毎朝繰り返される、父母のそんな姿を見て、寝床にいつつも感謝していた。
 母親は近くのスーパーにパートに出るようになってから、
夕食の時間はそれまでより、1時間以上遅くなった。
 「ゴメンゴメン遅くなって、今急いで作っちゃ!」と言いながら、
飼い犬のために持って帰った総菜コロッケを分けてもらって食べたことを思い出す。
 大学を卒業してしばらく経ったある日、
母が「やっとローン終わったわ。」ってつぶやいた。
 「何、借金しとったが?」と訊ねた。
 「あんたの学費や。」
 返ってきたその言葉に申し訳ない気持ちでいっぱいになり、
母に返す言葉が見つからなかった。
 
 自分にも子供ができ、親になった。
はたして自分が親からしてもらったことを、自分の子供にもしてやれるのか?
 子供は親のうしろ姿を見て育つという。
 子育てをだいぶ前に完了した母だが、
今度は体の弱った義母の世話を献身的にしている。
 何歳になっても親は子供にそのうしろ姿を見せ続ける。