午後2時に、三重県から来られたお客様と話をしていた時でした。
名刺交換をして、10分ほど経過したころに建物がゆれ始めました。
ここ数日間は、横ゆれの小さな地震が頻発していたので、「またか…」と
最初は気にとめなかったんですが、すぐに「ヤバイかも…」という危機感に
変わりました。
ビル全体がギシギシすごい音をたて、立っているのがやっとでした。
事務所はビルの3階にあります。テーブルの下に入ったとしても、底が
ぬけたり、コンクリートの天井が崩落したらおしまい。「なすすべもなく」
テーブルにつかまり、ゆれが治まるのを待つしかありませんでした。
ニュージーランド地震が頭をよぎり、「自分も同じ死に方をするのか」と
覚悟しました。
ゆれが治まりかけた頃合をみて、脱出しようと出口のほうをふり返ると、
ご覧のあり様。棚が倒れ、ものが散乱し、出口をふさいでいました。
(以前から、「この棚、地震が起きたら危険だな」と思い、突っ張り棒でも
かませようと考えていた矢先でした)
倒れた棚を押し上げ、ドアをあけて廊下に出ました。エレベーターは
止まっていて、非常口から階段で外に脱出しました。
外には建物から出てきた大勢の人が、近くの大通り公園に集まっていました。
それぞれ、携帯電話で連絡をとろうとしますが、まったく不通。
誰かが持ち出したラジオや、携帯のワンセグテレビから、震源地の情報が
流れると、泣き崩れる女性もいました。救急車や消防車のサイレンが鳴り響き、
あたりは騒然とした状況でした。
地面に立っていても、余震のたびに建物や電柱とともにゆれ、高層ビルに
囲まれた広場では、建物が倒壊すれば逃げ場もありません。数時間、その場で
立ちすくむしかありませんでした。
3・11 東北関東大地震
2011/03/20 10:03