昨今、新聞に「人手不足」という言葉が載らない日はほとんどありません。
弊社にも例年にないほど問い合わせがあり、地元企業の渇望感を切実に感じます。
高校新卒者の求人倍率は2.44倍。“超売り手市場”と言われたバブル期最後の
平成4年は、3.3倍でした。高校生の人数はこの30年間でほぼ半減し、進学率
も上がっているので、実態は数字以上に厳しいはずなのですが、一方で省人化が
進んでいることもあり、結果として、人の手に頼らざるを得ない業種において
特に熾烈さを極めています。
機械と比べ、人力の場合は生産性が劣り、コストがかかるため、労働条件がなか
なか改善されないのが現状です。しかし、機械の代替えはできても、人の代替え
はできません。そこをもっと大切にする政策や教育が行われていかなければなら
ないはずなのに、外国人技能実習生による埋め合わせを続けていては、根本的な
解決はできません。
さくらノートは、求人誌や職業紹介誌ではありません。創刊以来、私たちが大切
にしてきたのは、中高生に、“その仕事を生業とする人の価値観を伝える”こと。
純粋に物事をとらえられる時期に様々な価値観に触れることで、将来につながる
種が植えられます。
子供たちを指導する先生の役割も大変大きいのですが、就職活動の経験もほぼ
なく、一般企業に就職したことのない先生たちですから、感覚にはかなりの温度差
があります。そういった先生方にもこの「さくらノート」を読んでもらうことで、
それぞれの職業の価値や、人生の幅広い歩み方を知ってもらえたらと願っています。
幸い、「毎号、社会で活躍する教え子を見つけるのが楽しみ」と言って下さる
先生方も多く、大きな励みになっています。この小さな冊子が及ぼす影響はまだ
ひっかき傷に過ぎないもしれませんが、継続することで少しずつ風穴を開けていき
たいと思っています。