わが国最初の憲法である「十七条憲法」には、役人や官僚のあるべき姿や徳目が示され、どんな時代においても何人も貴ぶべき法であると記されています。その根幹となる第一条には「和を以って貴しと為し・・・人みな党(たむら)あり、また達(さと)れる者少なし・・・上和らぎ下睦びて事を論ずるに諧(かな)えば・・・何事か成らざらん」とあります。1400年前の聖徳太子の時代も派閥が権力闘争を繰り広げ、外交においても非常に混沌とした時代でした。いつの世も様々な利権が絡み合って主義主張を違え、徒党を組んで対立する中、お互いが和らいでまとまることは簡単ではありません。しかし、ここに書かれてある心がまえは、国を統治する者だけに限らず、家庭でも組織でも通じるものです。
「十七条憲法」の詳しい内容を知る人は少ないと思いますが、「さくらノート」のインタビューをしていて時々感じるのは、普段、仕事で実践されていることが、そこに書かれた徳目と合致していること。いろいろ悩みながら良い方向に向かう法則に気づき、それが揺るぎない信条となっているのだと思います。「さくらノート」を道徳の授業で読む学校も少なくありません。働く人たちの記事を通し、子供たちが大切な徳目に気づいてくれることを期待しています。

