テレビ60年記念ドラマ「メイドインジャパン」(NHK)の最終回を見終わった。
実にいいドラマだった。演技も素晴らしかった。
胸が熱くなると同時に、血が騒ぐ感覚を覚えた。
かつてタクミ電機でリチウムイオン電池の開発責任者として働いてた迫田は、
不採算を理由にリストラされた後、中国の新興電機メーカーの来生(ライシェ)
の工場長として迎えられる。
タクミ電機の提訴を受け、来日した迫田が記者会見で、ライシェ側の阻止を
振り切ってまでも述べたかった言葉、
「会社や国を裏切っても、技術は決して裏切ってはならない!」
「人のために役立つ」という、ものづくりの原点を忘れ、効率を優先してしまった
日本の製造業。
「生命の安全が第一優先」という、モラル意識の欠如した中国メーカー。
双方に対して忠告を与えるごとく、凛とした態度で述べた迫田の言葉に
心を打たれた。
最後のシーンで、かつて同じ釜の飯を食った矢作が迫田の気持ちを代弁し、
ライシェの工員たちに訴える。
「迫田は、皆さんを裏切る気持ちなど決してなかった。ただ、技術を裏切りたく
なかっただけだ」
そして、最後に締めくくられた言葉は、
「メイド・イン・ジャパンは、オレたち日本人そのもの」
「メイド・イン・ジャパン」とは、ものづくりに対するスピリットであると解釈した。
それは、元来、日本人が持っている職業観ともつながる。
八百万の神を信仰してきた日本人。
米一粒、もの一つにも神が宿る。道具に対してもお浄め、お祓いをし、細部に
わたり、そしてパッケージにまで気持ちを込める。
熾烈なグローバル競争においては、その考え方が足かせとなる場合もあることも
否定できない。
しかし、消費財(完成財)である家電のメーカーとしての日本の役割は、他に
取って代わられたかもしれないが、その中身を構成する資本財、中間財に
関しては、まだまだメイド・イン・ジャパンが世界をリードしている。
他にも、我々の国には世界を凌駕する「メイド・イン・ジャパン」が数多くある。
日本食をはじめ、質の高い農作物や酪農製品、インスタント食品、・・・。
その昔、日本の代名詞は、「フジヤマ、ゲイシャ、テンプラ」だったが、
今は、「ワンピース(マンガ)、オタク、回転寿司・・・」がそれにあたるのだろうか。
どうやら、最終的な日本の強みは、独自の文化。それを産み出すエネルギー。
それは自分たちの中にあるものなのだ。
MADE IN JAPAN
2013/02/10 12:02