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押し花
2010/05/08 12:05

先日、川崎のある講演会で講話をした時に額入りの押し花をいただきました。
キバナコスモス 庄村昌子
庄村 昌子さんという神奈川県在住の有名な押し花作家さんの作品ということで、
実に見事な作品でした。
 「神は細部に宿る」という言葉がありますが、小さな額でありながら、細部まで
こだわった、作り手の思いが伝わってくる作品に、一瞬にして心が癒されました。
添えられていたプロフィールには、なんとフランスのルーブル美術館の展覧会にも
出品され、「印象派賞」を受賞されていらっしゃるんです。
かの「到知」という冊子にも登場されており、そのインタビュー記事もとても興味
深い内容でした。
きっかけは道端に咲いていた野花に心が癒され、押し花をカードに貼って知人に
送ったこと。それが大変好評で、いろんな方から花をもらうようになり、押し花
製作をすることが次第に増えていったとありました。
僕が感動したのは、「なぜ、時間が経っても花が変色しないのか?」という質問
に対してのくだり、
「声かけも大事。花は押し花製作にかかる三日前、『三日後に切るよ』と花に告知
し、当日になると『今日切るよ。その代わりきれいに咲かせるからね』と約束して
から切ります。花も生き物だから言葉が分かるんですね。
 花びらは、蕾も使うこともポイントです。これから咲こうという生命力のある花
を使うと変色しないんです」
また、庄村さんはこう言っていらっしゃいます。
「私は独学・我流の押し花だから、あえて言えば花が師匠です。言葉のない花から
学ぶには、失敗を繰り返すしかないんですね。一つつまずいて「どうしてだろう」
と思い、何度も挑戦を繰り返し、やっとできた時、『花はこれを私に教えたかった
んだ』と気づく」
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どの花もみんな永遠の命を与えられ、全身で喜びを表現しているのが
伝わってきます。
「二度とない人生だから
 一輪の花にも
 
 無限の愛をそそいでゆこう
 一羽の鳥の声にも
 無心の耳をかたむけてゆこう」
日々、忙殺されつつも坂村真民翁のこの詩にある気持ちと感性を
忘れないようにしたいと思いました。